スーパーコンピュータを20万円で創る

スーパーコンピューターを20万円で創る (集英社新書)

スーパーコンピューターを20万円で創る (集英社新書)

スーパーコンピュータを20万円で製作していった過程を描いた実話。
主な登場人物は、研究室の4人。
特にその中でも直接製作に関わった伊藤氏(著者)が主になってくるが、まったくのコンピュータ素人が如何にして創っていったか、という過程がとてもおもしろいし熱かった。
個性的な4人のメンバーが、物語の盛り上がりにかっている点もよいです。


伊藤氏を除く3人は秀才ともいわれる頭脳の持ち主たち(伊藤氏も東大に入るくらいだから凡人以上ですが)。
その中で、凡人とも言える伊藤がこのスーパーコンピュータ製作の重要な柱となっています。
ほとんど1人で製作したに近いこのスーパーコンピュータ。
以前読んだ、世界一のプラネタリウムメガスター」を生んだ大平氏の話と似た感じを思い出しました。
4人との共同製作だった、と最終的に言っているが、そのすべてを製作した伊藤氏の孤独な作業だったとも思えます。
その点で、孤独に部屋にこもってプラネタリウムを製作した大平氏とダブって見えました。


さて、そんなスパーコンピュータ「GRAPE」だが、どっかで聞いたことあるなぁあるなぁ・・・と思い続けていたら・・・。
そう、学部の時の研究で聞いた名前でした。
学部では分子動力学をやっていたのだが、その分子動力学に特化したGRAPE「MDGRAPE」の名前を見て思い出しました。
そのときは、そんなコンピュータもあるのかぁ・・・程度だったのだが、まさかこの人たちが創ったものだとは思いませんでした。


学部の時の研究が唯一役に立ったのが、この本の中で触れている天体学と分子動力学との関係が、わかりやすく理解できたという点だけです。