希望格差社会

格差社会」という言葉を世に知らしめた本として有名だが、文庫化されていたのを知りこの機会に読んでみました。


内容はというと・・・、
将来に「希望」をもてる人と「絶望」している人に今の日本(先進国)は分裂し始めている。
では、なぜそんなことが起きてしまったのか?、という話。


はっきり言って、読んでいくうちにどんどん気分が暗くなっていきます(笑。
そして、将来に「希望」が持てなくなり現実逃避へ・・・。


と、なってしまうと、この本に書かれているように「希望」をもてない負け組みとなってしまいます。そうならないためにも、なぜ人々が「希望」をもつことができなくなったのか?と、いう現実を見つめるためにも、ぜひ読んでいただきたい内容です。

格差社会系の本は何冊か読んだが、この本ほど格差社会についての核心に触れているのは無いです。コレ系の本は、すべてこの本をベースに書いてあったのではないか?と思いました。若年層の年金問題、フリーター増加、学校問題など、ようやく今の社会で起きている問題の核心を見つめることができました。


特に、学生である僕の立場からすると、教育についての話はおもしろかった。戦後の日本の教育システムが如何に重要な役割を担っていたか(あくまでも過去の話)。そう考えると、高専という仕組みが高度成長期になぜ生まれたのかが分かりました(笑。


あと面白かったのが、正社員とフリーターの話。
同じ給料をもらっていたとしても、正社員は研修や社会保険といった恩恵をもらえる。それが、5年10年と経った場合、質的な差に埋められない差が生まれて、大企業に入れれば手厚い保護を受けられるが、それ以外は悲惨な状況となってくる。
企業にとって中核をなす社員は、他社に引き抜かれたら大変だから高い給料を払い、マニュアル通りの労働者はアルバイトや派遣での格安労働をさせる。そうなっていくと、どんどん格差が生まれる。つまり、フリーターは将来の安定も見通せないし、なによりも一度フリーターになってしまうとそこから抜け出せれない社会となっていく、という話。
堺屋太一氏の本で、公務員はぬるい中で生き専門能力が何もないので、民間では働けないといっていました。公務員縮小が行われているが、こういう人たちもリストラされたらお終いでしょう)


ここ数年の間で格差社会が急に話題になったが、他の先進国ではすでに起こっている話であり、世界的にかかている問題である。ただ、日本と他国が違うのが、日本のフリータの多くが親元で暮らすパラサイト・シングルであることである。いま社会を変えないと10年後、20年後には取り返しの付かないことがおきてしまう。日本は、他国以上に深刻化している問題にあるにもかかわらず、国は・・・。それについて著者が具体的な案を出しているが、肝心の国はダメダメで・・・。
あぁ、どうなってしまうのやら。
こんなんだから「希望」もあったもんじゃないんだろうな・・・。


とりあえず、崖に落ちないように必死に踏ん張りましょう!
僕らができるのは、それしかないでしょう。